11月10日(水)放送「青山のニュースDEズバリ」概要

今週は、以前から やりたかった関西テレビで放送されているスーパーニュースアンカーで、水曜に放送されている青山繁晴氏のコーナー「青山のニュースDEズバリ」を文字に起こして紹介しようと思います。


出演者の敬称は省略いたします。


本日の出演者
出演者 略歴 備考
青山繁晴 独立総合研究所 社長,番組 水曜コメンテーター 詳しい経歴は∞ 独立総合研究所:青山繁晴プロフィールを御覧ください。
山本浩之 関西テレビアナウンサー,番組アンカーマン 青山氏は「ヤマヒロさん」と番組内で呼んでいます。
村西利恵 関西テレビアナウンサー,番組キャスター
岡安譲 関西テレビアナウンサー,番組キャスター 青山氏は「オカちゃん」と番組内で呼んでいます。


今週は「尖閣ビデオ流出」について語られております。


コーナー前半 CMまでを文字に起こしました。

尖閣ビデオ流出の経緯

山本 漁船衝突の映像が動画投稿サイトに掲載された件は、今朝(11月10日 水曜日)海上保安官が名乗り出ましたけれども、この問題の真相 そして本質は何なのか、早速 青山さんの解説です。
青山 今日は、まず 事の起こりと、たった今 入ってきた事を(ご紹介いたします。)
まず出してください。

漁船衝突映像の流出経緯

村西 そもそも、この動画投稿サイトに投稿されたのは 11月4日 先週の木曜日 夜9時頃の事でした。
青山

本当の事の起こりというのは、9月7日の事件から始まるのですけれども、ビデオの流出については 11月4日 木曜日の夜9時頃にあったという事なのです。
それで、私が知ったのは 4日から5日にかけて 日付が変わる頃に知りました。夜中、この44分のビデオを4回くらい見まして 実は最初の段階で「これは本物だ」ということは すぐに考えまして、
5日 金曜日に夜が明けて 朝6時過ぎだったと思いますけれども、海上保安庁の信頼する ある高級幹部に電話をしまして この件を聞いた*1ら、私は その電話の時点で すでに
「あなたは高級幹部だから、組織全体に下ろして欲しい話がある。それは、捕まる前に自分から名乗り出られるように隅々まで話を下ろしてください」と言いました。

私は海上保安庁長官任命の「海上保安庁政策アドバイザー」*2というのを務めていまして、無給でいる理由は 海上保安庁にも言いたい事を言わなければ いけないからですけれども、政策アドバイザーとして
「この問題は、捕まる前に名乗り出るように下ろしてください」と申しました。

5日の朝 早い段階で、どうして そういう事が言えたかというと、電話で その幹部が大事な事を言ったんです。それを出してください

村西 動画が投稿された翌日の電話で、海上保安庁幹部は「あれは ウチしかない」と話しました。
青山

今日、このアンカーでお話しする前に その幹部へ「こういう言葉を言いましたよね」と何度も確認しました、実は この人(関西地方には住んでいないのですが)もアンカーを見ている人で、この番組で言う事を前提の上で確認したら、
「確かに そう申しました。あれは、ウチしかありません」

それは、どういう意味かと申しますと まず こうなんです。

海上保安庁幹部の見立て


流出された映像は 内部からの流出の可能性がある

村西 当初から 内部からの流出と考えられた 上図の文字を変更しました
青山

というのは、当初とは神戸の海上保安官が名乗り出る前までに、様々な報道が いっぱい ありまして、
敢えて申し上げるなら 誤報がいっぱいあるんですよ。未だに修正されていない報道もあるのですが、その洪水のような報道の中に
「あのビデオがあったところは 検察もあれば海上保安庁もあって、(流出元は)海上保安庁とは限らない」という話が ずっと報道されてきたのですが、いや そうではなくて、最初から検察ではなくて海保*3しか あり得なかったわけです。

それは どうしてかというと、キーワードは ここ(上図)の「あれ」なんですよ。あれ

村西 はい。
青山 「あれ」は漠然と言っているのでは なくて、具体的な物なのです。それは何かと言うと、実際の映像を見ていただけますか。
村西 動画投稿サイトに投稿された映像6本のうち1本を御覧いただいております。この映像の最後に
「企画・制作 PL63 巡視船よなくに」とありますが、このエンドクレジットは一体どんな意味なのでしょうか?
青山

これ(エンドクレジット)は、文字通り 画面が真っ暗になった後に出るのですけれども、

これ、皆さん 普通に考えて頂いて、この「企画・制作」という言葉を検察に出す物に付けますか?

まず それがありますね。もう ちょっと しっかり説明すると、
検察庁海上保安庁または(管区)海上保安部から、あるいは管区の保安本部、つまり海保の側からビデオを提出しますが、これは無編集,無修正でないと いけないんです。

というのは あくまで検察に出すのは、やがて裁判をします。この中国人船長は起訴されて 裁判に掛けられる筈だったですから。
証拠としてビデオを出さなければ いけない場合、映像はマスタービデオなんです。
山本 映像を いじくっては ダメなわけですよね。
青山

ちょっとでも手を入れたら、まして こんな画面(エンドクレジット)入れたら一発で証拠の価値を無くしてしまうから、無編集の映像を検察庁に提出したのです。映像は合計10時間以上あって全部を見るのは大変だから。

その時に検察官はどうしたのか?というと、映像のスナップショット、例えば「漁船が網を入れました」「網を出しました」とか、中国籍漁船は違法操業ですから、それから皆さんも ご存知の「船がぶつかってくる画面」それらが○分○秒にありますと紙で提出してありますから、映像そのものは いじっていないんですよ。

検察にも44分の映像を 紙以外に、簡単に事件概要が見られるように作って提出したんですよ。それと同じ映像を活用して海上保安庁の内部でも見られるようにした。

それは面白がって見ようとしたのではなくて、いくら なんでも このような悪質な行為、巡視船に向かって2度も意図的に当ててくる。それも明らかに普通の漁船としては おかしい、訓練された行動でやってくる。

これが単に参考にされるべき だけではなくて、今後繰り返される恐れが強いんです。日本の政治,憲法の現状から かんがみて*4、今後繰り返される恐れが強いから海上保安官は、見なければ いけなかったんですよ、それを企画したのです。

ぶつけられた本人達、巡視船よなくに、PLというのはpatrol largeの略で 大きな巡視船という意味なんです。*5

「企画」という言葉、今回に限っては
「全員見なければいけないよね。」「海上保安官達は全員見ようね」、場合によっては海上保安庁職員1万2千人「みんな見るべきだよね」
それを考えて(企画)、責任もって作りました(制作)。だから、これ(エンドクレジットが含まれた事件概要の映像)は検察に提出されていないんですよ。

すなわち こういうことです。

映像は海上保安官の研修用に作成された物か…

村西 (エンドクレジットが含まれた 事件概要の映像は)海上保安官の研修用に作成された物である。と
青山 例えば、海上保安庁の鈴木長官は「研修を組織としてやった事実はない」だから否定しているのですが 衆院予算委員会審議で海上保安庁長官の鈴木久泰氏が発言したそうです。

中川秀直 衆議院議員のブログにメモがありました。
予算委員会審議:海保職員の名乗り出事案|中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」

西村 おっしゃっていましたね。
青山

しかし、現場では「研修」という言葉であっても「参考」という言葉であっても良いのですが、実際に学ばなければいけないのですよ。そのために(この映像を)作って、しかも この黒いエンドクレジットを付けたのは海保しかないから、
もう一回言いますが 流出直後の朝の電話で海上保安庁の高級幹部、彼は非常に良心的な人なので「あれ(エンドクレジット付きの事件概要の映像)は ウチしかない」と、「だから、ウチの内部だろう」と。

その時私は、「心情は分かりますか?」と聞いたら、「いや、分かりません」と おっしゃいました。
これは、むしろ海上保安庁を破壊してしまう。こんなことをやってはいけない、私達『海の警察』だから。こんなことをしては いけない血の涙が出ます」と おっしゃいました。

私は声が出なかったんですけれども、それがありましたから 私は確認していませんが、「海上保安庁の内部では 実は人知れず、名乗り出てくるように」という努力があったのかも しれません。ここは私は今のところ確認はしていません。その上で今申した事も踏まえながら、改めて今の流れをもう一度客観的に見てみましょう。

中国籍漁船衝突事件を時系列で振り返る


漁船衝突事件発生からの経緯

村西 漁船衝突事件発生からの経緯です。
事件発生〜船長逮捕〜拘置延長
青山

これは先ほども申しましたが、9月7日に事件が発生し、まさしく この画像にあるように、意図的に ぶつけてくる、しかも衝突が2回あったわけですよね。

大変な事が起きたので、船長の身柄を押さえて 9月8日の未明に ついに逮捕しました。今までは逮捕すら出来なかったのですけれども、とうとう「逮捕しました」と。

皆さん思い出して いただくと、9月19日(日)に「船長の拘置を延長しました」と。
私達は ごく普通の事と受け止めたのですよ。実は この時には、那覇地検と上級官庁である福岡高検が「裁判をします」と。「正式に起訴して、裁判でフェアに裁きます」ということを最高検察庁に上げたら、最高検はOKだったわけです。

「フェアな調べを続けなければいけないから拘置延長をした。
中国は「いじめだ」と とったようですけれども、違います。日本の民主主義に基づいて それ(中国人船長の逮捕,拘置延長)をやったんです。

これで中国は逆に、「えっ!? これは裁判をやる つもりなのか」と気が付いて、もの凄い圧力を強めてきたのです。

拘置延長のニュース記事
中国人船長の拘置延長を決定…中国は猛反発 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

中国の反応
中国、閣僚級の交流停止 尖閣沖衝突の船長拘置延長で  :日本経済新聞

那覇地検会見〜船長釈放
青山

その結果、5日後の9月24日(金)に那覇地検の歴史に残る会見があって「日中関係や国民生活に配慮して釈放する事とした」となって、翌日の25日 実際に釈放されちゃったんです。

ここ(船長釈放)で、これまでは 今までも申したように「これ(漁船衝突映像)は、みんな(海上保安官も当然のこと、国民も)が見なければ いけない映像だ」となっていたのが、船長釈放後 急に 話が おかしくなったわけですよ。

釈放のニュース記事
尖閣沖衝突 中国人船長を釈放へ 那覇地検、処分保留で - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

那覇地検会見の要旨
那覇地検の説明要旨  - 大阪日日新聞

那覇地検の会見ニュース映像
YouTube - 尖閣j諸島沖衝突事件、中国人船長、処分保留で釈放へ

船長釈放後
青山

話が おかしくなって、微妙な状態が続いて決定的になったのは 前原前大臣から代わった馬淵国交大臣が、「映像の管理を徹底的にやれ」と言ったわけです。
ここから いわば、公式に機密扱いになったのです。

しかし皆さん、公平に,フェアにみて これ(漁船衝突映像)国家 国益のために機密扱いになったのですか?

山本 いや、違うでしょう。
青山

そうではなくて、この映像を見たら「中国人船長の釈放は何だったのだろう?」、「私達 主権者、あるいは世界の常識,国際法からみても おかしいでしょう?」ということになるから、馬淵さんは映像の管理、つまり「まずいから出すな」ということですよね、本当は。
馬淵さんは真面目な人だけれども、しかし これは そう解釈せざるを得ないわけです。

そうすると、この流れ(船長釈放→映像の管理)というのは明らかに異常なのですよ。
異常が重なってきたから 国会で限定的に予算委員会の理事だけに見せたのです。しかし、この時に同時に仙石さんは「一般には国民には公開しません」と言い切った わけですよね

山本 そうです。
青山 いろいろな配慮をしなければ いけないから。

この3日後に映像の流出が起きるわけですから、今のところ動機は調べ中ですけれども「動機は今までの経緯に たっぷりと あるな?」というのは誰にでも考えられることなのですね。

それを踏まえて このVTRを見ていただけますか?

流出された映像は機密情報なのか? ~過去に海上保安庁が公開した映像から検証

青山 このビデオ、みなさん こんな言い方が良いのか どうか分かりませんが、なつかしい映像ですよね。
村西 こちらは2001(平成13)年12月に鹿児島県 奄美大島付近で北朝鮮の不審船が海上保安庁の巡視船と銃撃戦をしたときの映像です。
この事件で北朝鮮の不審船は沈没し、乗組員全員死亡 海上保安庁の巡視船乗組員3人が負傷しています。

九州南西海域不審船事案海上保安庁のレポート
海上保安レポート 2008年版 / 特集1 海上保安庁 激動の10年 2001年

映像(5分30秒)【要 Windows Media Player
平成13(2001)年12月22日 九州南西海域不審船事案のビデオへのリンク

windows以外の方(10分)
YouTube - 九州南西海域工作船事件 The Japan Coast Guard received the attack

青山

誤解無きよう、沈没したのは北朝鮮の側が自爆したのであって、海上保安庁の銃撃によって死んだ,沈んだのでは ありません。

しかし、そう(銃撃で亡くなったり沈没)であっても、この映像というのは 明らかに我が国の海上保安庁、海上の警備力が「どんな能力を持って、どういう時に ついに発砲するのか」というもの,手の内を見せたような映像なのです。

それなのに公開していて、未だに皆さん 今日のテレビだけではなくて、海上保安庁のサイトへ行けば 今でも見られるのですよ。全世界に向けて公開されていて手の内をさらけ出したものまで公開しているのに、同じ海で どうして今回の中国籍漁船 衝突映像は機密扱いなのか誰が考えても おかしいわけですよ。

海上保安庁サイト
海上保安庁 Japan Coast Guard
山本 おかしいですね。
青山

だから、北朝鮮の不審船をついに銃撃(銃撃と いっても威嚇銃撃)して、向こうが撃ち返してきたので、正当防衛で こちらも撃った
そしたら、はっきり言って 向こうが勝手に自爆して死んでいった、そして全員死亡したという 以前の映像が「今回の映像は機密ではないでしょう?」という 言わば証拠になるわけです。

この状態の上で、すでに神戸の海上保安官が事情を聞かれていて、やがて逮捕されて東京に身柄を移されることになって、この後どうなるのかというと 起訴したら裁判になるのです。私は最近、海上保安庁の人よりも たくさん電話している相手は検察官なのですよ。

検察官に、調べる人だけではなくて「公判部」という部署があるのですが、

公判を維持する立場の人に
「これ、機密だと立証できるのですか?」
「どうやって立証できるのですか?」

裁判になったら、先ほど皆さんにお見せした北朝鮮の不審船への銃撃戦の映像が弁護側から恐らく出ますよ。
「こちらは公開で、あちらは どうして機密なのか、そんなときに どうやって反論するのですか?」と言いましたら、現実は こうなんです。

検察内で 意見が真っ二つに割れている

村西 検察の幹部によると、ビデオ流出について「検察内で 意見が真っ二つに割れている」
青山

例えば、「断固これは やるべきだ」と私に電話で かなり怒って言ってきたひとが、「10月18日に馬淵国交大臣が「厳重管理」と言っているのだから、それは もう守るべき機密に当たるのですよ」と言ってきた人もいます。
だけれども、「馬淵さんの動機が国益のためになるのか?」ということで、私が電話で聞いた段階では 内部でも「いや、やがて容疑者が出てきて逮捕しても 青山さん、我々は これを不起訴にするべきだ、起訴するべきではない」と言った人もいて、検察が二つに分かれているわけです。

それを後半さらに具体的に見ていきたいと思います。
後半のキーワードは これです。

村西 ここで、ズバリ キーワードは「裁かれるのは 誰か」CMの後、詳しく話していただきます。

後半に続きます


長くなりましたので、後半は別ページになります。
11月10日(水)放送「青山のニュースDEズバリ」概要 (後編)



備考

*1:いろいろな話をしてくれましたが、それは このコーナーでゆっくりお話しします

*2:もちろん 一民間人として無給、ボランティアです

*3:海上保安庁

*4:手本や先例と照らし合わせて

*5:この場合 PL63=巡視船「よなくに」は1,000トン