11月10日(水)放送「青山のニュースDEズバリ」概要 (後編)


前半:11月10日(水)放送「青山のニュースDEズバリ」概要
今回は関西テレビスーパーニュースアンカーで、水曜日のコーナー「青山のニュースDEズバリ」文字起こし 後半です。

前半ダイジェスト

漁船衝突映像の流出経緯
海上保安庁幹部の見立て
映像は海上保安官の研修用に作成された物か…
漁船衝突事件発生からの経緯
検察内で 意見が真っ二つに割れている

後半のキーワードは『裁かれるのは 誰か』

山本

二つ目のキーワードは『裁かれるのは 誰か』というものでした。

早く続きが聞きたいという人は多いと思います。
早速 お願いします。

青山 皆さんに コマーシャルが入る前に「検察の中で意見が真っ二つに割れている」と申しましたが、「具体的に何が真っ二つに割れているのか」というと これなんです。

国家公務員法 第100条

村西 国家公務員法 第100条、守秘義務違反に該当せず、無罪になる可能性がある。 国家公務員法

総務省が運営する総合的な行政ポータルサイト『e-Gov(イーガブ)』より

青山

これは、「断固裁くべきだ、厳しくやるべきだ」と言う人も 問いつめて聞いていくと、「いや、無罪になる可能性はそれは否定はできないよね」という答えが公判部の複数の検事から返ってきて、一人じゃないんですよ。
ということは これ、可能性ですけれども『(無罪になる可能性が)相当ある』ということ なんです。「どうしてか」というと、

国家公務員法

「国家公務員はこういうことをしなければ いけません」
あるいは「これをしたら いけないよ」

という法律がありまして、その第100条、ちょうど100条のところに

『職務上知りえた秘密は 公務員を辞めたあとも生涯守らなければ いけませんよ』
『それを破った場合は、1年以下の懲役か あるいは50万円以下の罰金ですよ』と。

それで仙谷さんは、これ(国家公務員法 第100条)が 「大して きつくないから、これをもっと きつくするんだ」と。いわば『この機に乗じて情報統制したい』みたいな事をおっしゃって いますけれども、「これから裁判やらなきゃいけない、検察の内部で問題になってる」そんな事では ないんですよ。

どうしてか?「無罪になるかもしれない」というもの、これは 歴然とした根拠があるからです。
その根拠は、何と これなんです。

衆院予算委で答弁する仙谷官房長官

海保、映像流出で刑事告発 経緯特定できず 仙石氏は秘密保全法制を検討−北海道新聞[道外]

1977(昭和52)年の最高裁判決

村西 国家公務員法 第100条の『秘密』とは

国家機関が形式的に秘扱の指定をするだけでなく
1.一般人が知らない事実
2.秘密として保護するべき

この2つの条件を満たす場合のみ、守秘義務の対象になるということが1977(昭和52)年の最高裁判決で示されています。

青山 「ちょっと、難しいな」と思った人が いるのかも しれませんが、話は難しくないんですよ。

具体的には、「税務署の職員が『部外秘』と書いてある書類を外に出しちゃった」と。
それについての裁判で、最高裁判例ですから 一番上なんですね。はっきり言うと 覆せません。最高裁判決の時に、役所が「ポンポコ ポンポコ『部外秘』の判子を押したってダメだよ」と、それだけです。

そう(『部外秘』の判子を押すこと)では なくて、その中身が問題なんだ」と。「その中身守秘義務対象の『秘密』)が、『もう、一般人は全然知らない』ということなんだ」と。同時に、「国家公務員であるから、その中身を国の秘密として保護しなければ いけない、認められなければ いけない」と。

「(守秘義務の対象となる『秘密』とは)中身が問題だよ」と言ったんですよ。

実はこれ、私達の民主主義,司法の独立が ちゃんと機能してる 立派な証拠なんですよ。

山本 そうですよね。
青山 というのは、役所は「ポンポコポンポコ」何でも『部外秘』って判子を…実際には、『秘』とか『厳秘』とか押すじゃないですか?

私が記者時代にも、たくさん体験しましたよ。「何でこれが秘密なの?」って。
要するに自分たちの組織を守るために、それどんどんやるんですね。

民主党は元々それ(役所の「秘密」)を打ち破って情報公開するって言ったんじゃないんですか?

山本 そうですね。
青山 もう すでに,33年も前に 最高裁から

「勝手に役人とか政治家が秘密と言ったってダメだよ。
裁判になった時は、その中身をしっかり調べて、その時(中身を調べた後に秘密だったとき)は、国のために,人権のために秘密にしなければ いけませんね。」と、

「証明されなきゃダメだよ」と言っているのですよ。

村西 つまり、今回の場合は「出さない方が国益を損なうと思われれば…」ということですよね?
青山 そうです。
日本ですから、最後(上告後の最高裁)は 裁判員裁判ではないので、プロの裁判官が、日本が定めている通り、自らの信念,良心……、

正確には自らの良心と法にだけ基づいて、判決を下すんですが、その裁判官が今、村西さんが先ほどおっしゃった通り、むしろ「出さないことの方が,秘密にしている方が国益損ねる」と思ったら無罪になるし、そこまで いかなくても…。
つまり元々経過を たどれば 9月19日あたりまでは、みんなが見るべきものだった わけですから。

それが「船長を解放したことによって、秘密に すり替えられたものが、裁かれるものなのか?」というは、必ず 裁判でも争点になって、「いや、これは断固やるべきだ」と言ってる検事*1も、「確かにこの判例*2があるから、無罪になるかも…」と言わざるを得ない状況なのです。

山本 なるほど
青山

その上で、もうひとつ 今日の段階でも、隠れている大事なことがありまして、
「今回の流出は はたして 今回は43歳*3のベテラン海上保安官だけが したことなのか?」というのが あるんです。

もちろん私は、簡単に「複数犯」と言うつもりはありませんけれども、このスタジオに入る*4直前に、最後にもう一度 海上保安庁の幹部へ電話をしましたら、こういう話があったんです。

この43歳の海上保安官は、まず主任航海士という肩書き、これは簡単に言うと士官,オフィサーです。海上自衛隊*5で言えば「士官」になるわけです。
つまり「責任ある立場です」と。それで、この方が乗っているのは、『うらなみ』という小さな船なんですよ。
神戸港の周辺を 一生懸命警戒している小さな船ですから、これが沖縄に応援に行けない。

というのは皆さん、あの事件が9月7日にあって、石垣海上保安部の誇る船が2隻もぶつけられて、証拠の調べや船の修理などで身動きが取れない ものだから、全国から海上保安庁の船が、捜査の応援ではなく「警備の応援」に行ったんですよ。
中国も再び どんどんやって来るわけですから。

したがって、「神戸の海上保安部」というのは 日本の保安部の中でも、59隻も船持つ 大きな海上保安部ですから、
その中でも 一番大きな『せっつ』*6という ヘリコプターも載せられる世界に誇る巡視船*7が行ったんですよ。

それで、この43歳の方が乗ってるのは小さな船だから(応援に)行かなかったけれども、大きな船が(警備応援で)行って、
これは推測を交えて申します、推測を交えるってことは明言しますが、みんなで最初に見てたわけですから。
警備の任務から陸に上がってきますね、上がってきた時に、そのビデオを恐らくは見てるわけですよ。

そして、面白がってや興味半分ではなく真面目に警備の勉強しなければ いけないから、「コピーして持ち帰った人が恐らく いるだろう」ということなんです。もう一回言いますが、推測です

そして、「警備の勉強も含めて みんなで見なければ いけないから、
自分の乗ってる船が小さくても見なければ いけないから、それが回っていって、この43歳の人の手にも渡ったんじゃないか?」ということも推測できます。

「どうして みんなで見なければいけないか?」というのは、もうひとつ大きな、大きな 大きな問題があるんです。

巡視船せっつ(PLH07)画像

青山

また、歴史の話になって申し訳ないけれども、でも簡単に言いますと「65年前に戦争に負けました」と。それで「負けた直後(3年後)に海上保安庁が できました。その間に「日本はアメリカに占領されてましたが、1952(昭和27)年になったら、もう独立を回復して日本に戻りました」と。

ところが皆さん、思い出していただくと 尖閣諸島を含む沖縄県は、そのままアメリカの もので、それが20年間続いたんです。
20年間続いて、ようやく沖縄の人々が頑張って、祖国復帰運動をして、1972(昭和47)年の5月に沖縄は戻ってきたんです。

そして、「この大きな流れの中に何があったか?」というと…

青山

別な話として、1969(昭和44)年に国連の調査で尖閣諸島に「日本は もう資源小国じゃない、本当は たくさんの資源を抱え込んでる国なんだ」ということが出たら、突然翌年から それまで「日本のもの」と認めてた尖閣諸島を、中国や台湾が「いや、自分のもんなんだ。実は 昔から そうだった」と言い始めたわけです。
そのあとに沖縄が日本に戻った。

そうしたら「(沖縄返還後)何が起きたか?」というと、問題の根っこはこれなんです。

村西

与那国町の外間*8町長は、10月16日(土)に開かれた『中国の領海侵犯から尖閣諸島海域を守る沖縄県民の集い』の中で、

「アメリカの施政下の尖閣には誰でも行けた。日本に復帰してから行けなくなった。」と話しておられます。

与那国町長の話
YouTube - 尖閣諸島海域を守る沖縄県民の集い 2/4 「与那国町長からの訴え」
青山

私は、この10月16日 土曜日に行われた集会に行きまして、つたない講演をいたしたんですけれども、私の講演の前に この自治体の首長や、国会議員の方々が いろいろ挨拶されたのです。
私が 一番 胸を突かれた思いがしたのは、私の信頼する外間町長「与那国島は日本で 一番西の島で、もう台湾が目の前ですが、そこに自衛隊部隊を呼びたい」と。

反対論(の人達)に、一生懸命苦しみながら頑張ってきた。私も相談受けてきて信頼してる人なんですよ。
その外間町長が何気なく その挨拶でおっしゃったのは、

「祖国復帰運動やってて、苦しんで。アメリカに支配された時の尖閣には、漁民も漁に行けたし、それだけじゃなくて ただの釣り船で遊びに行くこともできたし 誰でも行けたのに、やっとみんなが頑張って祖国日本に復帰したら日本国民(なのに)行けなくなった」と。

山本 はあー
青山

「中国など外国に、遠慮しなくては ならなくなった」ということを、沖縄県民みんな知ってるから さらっと おっしゃたんです。
本土から行った私は、本当に それ(その言葉に)胸を突かれたわけです。

そうすると、実は1972(昭和47)年に沖縄が日本に戻ってから、海上保安庁は日本の領土として守ろうと したのに「日本の漁民にはなるべく行かないでもらいたい」という現状があって、実は38年間 その重荷尖閣諸島海域で 領土として守る一方、漁師の方々には漁には来て欲しくないこと)を背負ってきたのが現場の海上保安官なんですよ

従って、単独犯、複数犯というような言葉はあまり使いたくないけれども、「一人でやったのか?複数でやったのか?」ということも本当の「根っこ」は、今回の海上保安官が突き動かされた気持ち…その…気持ちって、そんな心情的なものでは なくて、事実の重みというのは、海上保安官みんなに降り積もってることなんです

そうすると、この43歳の海上保安官は どんな志があったとしても、法で裁かれなければいけない,法廷に立たなければ いけない
その上で「無罪になるか、有罪になるか」は、この国の独立した司法が決めるんですよ。

しかし、それと同時に裁かれるのは、海上保安官だけなのか?
この保安官は法で裁かれても、国民に裁かれなきゃいけない人がいますよね。
それは この二人です。

国民に裁かれなくては いけない政治家

青山

菅さんと仙谷さん。
この方達は私たちの総理大臣、私たちの官房長官、この二人は裁かれなければいけない。

どうして中国船長を釈放したのか?
そして、それだけではなく、歴代の総理大臣も皆 沖縄返還があった。その(沖縄返還)後の38年間、もちろん自民党内閣を中心にして、一体どうしてきたのか?
国民に何も言うこともせずに、そのまま放置してきたではないかと。

私たちが選んだ『歴代の総理大臣、皆が裁かれなければ いけない』ということを最後に考えるべきだ」と私は思います。

山本 分かりました…
青山 すみません、時間が無いのですが 一点だけ。
山本 どうぞ。
青山 菅さんが、この間(11月8日 月曜日)の国会答弁で「石にかじりついてでも続けたい」と言ったでしょう? 菅氏の発言記事
菅首相 石にかじりついてでも…続投に意欲満々 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
村西 おっしゃいましたね。
青山

あれが一番情けない、あの総理の話だと思うんですよ。

「ご自分を守るんじゃなくて、あなたが守るのは祖国でしょう」と。
石にかじりついてでも、国を続けなきゃいけないのは日本国であって、総理大臣の地位はその(日本国を続けていかなければ ならない)ためにあるんだ」と。
自分のために動かないで いただきたい
それを最後に申して(おきたいと思います。)…すみません…時間を超過しました。

山本 ありがとうございました。「ニュースDEズバリ」でした。

*1:実は、強硬派と言っては いけないのでしょうが

*2:1977(昭和52)年の最高裁判決

*3:と、僕は聞いていますが

*4:生放送に入る

*5:あるいは海軍

*6:全長:約105メートル,総重量:約3100トン

*7:ヘリコプター1機搭載型巡視船

*8:ほかま