伊藤洋一の round up world now! 5月7日(金)放送分を文字に起こしてみました。前編

今週の放送内容

前編


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番組冒頭

番組冒頭
伊藤 皆さんご機嫌いかがですか。伊藤洋一
岸田 岸田恵美子です
伊藤 いやぁ 岸田さん、今週は マーケットとが…ねっ
岸田 大荒れでしたね
伊藤 大荒れになりましたよね
岸田 えぇ
伊藤 僕も、木曜,金曜日と朝早く起きるんですけど。特に金曜日の朝起きてびっくりしました
岸田 はい
伊藤 ニューヨークが一時、998ドル下げたということで、誤発注も関わっていたらしいんですけど。根本は、ギリシャ問題(ギリシャショック)でマーケットの不安が高まっていたということなので、しばらくガタガタしそうですよね。
岸田 今日は、そのあたりも詳しく お話伺って参ります。fujitsu presents 伊藤洋一round up world now! この番組は、富士通の提供でお送りします。 CMに入りました。

今週【5月7日(金)】のニュースファイル

今週【5月7日(金)】のニュースファイル
岸田 fujitsu presents 伊藤洋一round up world now! 今夜も一週間の主な出来事をピックアップして伊藤さんに解説していただきます。その前に、番組が選んだ今週のニュースファイルです。
岸田 上場企業の3社に1社で、2010年3月期の純利益がリーマン・ショック前の2008年3月期を上回ったことが明らかになりました。人件費などのコスト削減や原材料価格の下落が寄与し、電力・ガスや製紙、通信などを中心に業績水準が回復してきました。ただ、自動車や電機では、なお利益水準が金融危機前を下回る企業が多く、本格的な収益拡大にはなお時間がかかりそうです。
伊藤 自動車,電気といったら日本の基幹産業じゃないですか。それがまだ弱いというのと、やはり 雇用が回復しないというのがまだ課題山積ですよ。マーケットも荒れてますし、景気が まだまだ予断を許さないところだと思います。
岸田 上海国際博覧会=通称「上海万博」が開幕し、初日の来場者は当初予想を下回る およそ20万人にとどまりました。初日の混乱を回避するために中国当局が一部の入場券を回収した可能性もあります。人気のパビリオンには多くの人々が詰めかけ、日本館,日本産業館は入場まで3〜4時間待ちとなりました。
伊藤 今日、「上海万博に行ってきた。」という、あるテレビ局の若手と話をしましたら、彼が一言「伊藤さん、あまり面白くないですよ。」と言ってました。私も名古屋の万博を見たとき思ったんですけど、ひとつのパビリオン見るのに「3〜4時間待ち」ってニュースでもあったじゃないですか。それで見られたものが何かというとね……。万博の時代は終わったという見方をしてまして、インターネットはいつも万博しているようなものじゃないですか。
岸田 中国の中央銀行である人民銀行は、市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を、今月10日から0.5%引き上げると発表しました。中国の預金準備率引き上げは今年3回目です。
伊藤 この引き上げで、兎にも角にも上海のマーケットが 3〜4%ドスンと落ちましたよね。その後も、ギリシャショックなどいろいろありまして落ちているんですけれども、やはりマーケットは中央銀行が徐々に金融を引き締めに動いているという風に動いていると見ているようです。
岸田 EUのユーロ圏16カ国は、ギリシャに対し、2010〜12年の3年間で総額 1,100億ユーロ=およそ13兆7,000億円の協調融資を国際通貨基金と共同で実施することで合意しました。一方、ギリシャ国内では、政府が支援と引き換えに追加緊縮策を決めたことに対し、各地で激しい抗議行動が相次ぎました。金融市場では、ヨーロッパの財政不安の先行き不透明感が強まり、各国の株式相場が急落するなど不安定な状態が続きました。
伊藤 これは後で申し上げますけれども、デモに関連した事件で 銀行に勤めていた方が3人も亡くなるということが起きてまして、マーケットは「金額」では少しも納得できなかった。であるが故に今回の大きなマーケットの波乱になったということだと思います。
岸田 鳩山総理大臣は、初めて沖縄県を訪問し、アメリカ軍普天間基地問題で、県外への全面移設を断念すると表明し、陳謝しました。地元は強く反発しており、自らが掲げた5月末までの決着は極めて困難な情勢です。
伊藤 鳩山さんはこの問題でも、「ちょっとどうかな?」という発言を繰り返してまして、「【最低でも県外】と言ったのは私の公約であって、党の公約ではありません!』みたいなことをおっしゃっていて、これはどう考えても「自分の次に(首相,民主党党首に)誰かがなったときに、党の公約ではないので沖縄の皆様、すみませんが基地を引き受けてください。」と言うための下準備かな?と言う感じもしますよね 私の印象なのですが。5月末という期限は、相当厳しくなった。まぁ最初から わかっていることですけれども…
岸田 ウォールストリート・ジャーナルなどアメリカの複数のメディアは、関係者の話として、Apple(米 アップル社)の高機能携帯電話「iPhone」向けのソフト開発を巡り、アメリカ司法省とアメリカ連邦取引委員会Appleによる競争阻害の有無を調べるために協議を始めたと報じました。Appleが最近改めたiPhone用アプリケーションソフト開発のルールなどが問題視されている模様です。
伊藤 そろそろ日本でもiPadが出てくるんですけれども、Appleは昔日本の家電メーカーが占めていたデファクト スタンダードみたいなものを取ったが故に、こういう色々な問題が起きているというのは、ある意味では強さの証明になりますよね。
岸田 アメリカの著名な投資家ウォーレン・バフェット氏は、アメリカ証券取引委員会が証券詐欺の疑いで提訴したゴールドマン・サックスについて、「非難される事実は何もない」「損失を出した投資家に同情の余地はない」などと述べ、ゴールドマン・サックスを擁護する姿勢を表明しました。一方、アメリカ証券取引委員会などは、ゴールドマン・サックスが規制に違反した株式の空売りを繰り返していたとして、45万ドル=およそ 4,200万円の制裁金の支払いを命じたと発表しました。
伊藤 この問題は、あとで取り上げます。
岸田 英フィナンシャルタイムズ紙は、「日本国債を国内で消化できなくなる日」との記事を掲載し、「日本の国債がすべて国内で消化されていれば問題はないかと言えば、決してそうではない。国内の投資家に頼りすぎていることから、日本政府は民間部門の貯蓄が減ることと、銀行が国債購入よりも企業などへの貸し出しを優先させることを非常に恐れている。」と指摘しました。
伊藤 これもまた、あとで取り上げます。
岸田 財務省が発表した3月の税収実績によりますと、2009年度初めからの一般会計税収の累計は、前の年に比べ マイナス17.2%の 28兆 9,681億円となりました。世界的な金融危機の影響などで、法人税が 6割強の減収となったうえ、所得税収もマイナス13.4%と大幅に落ち込んだのが主因です。
伊藤 これは、経済がshrink*1しているときが非常に厳しい問題です。経済のshrinkを止めるために財政を拡大しようとすると、実は税収が細ってくるという… 企業収益がないと、勤労者の所得も減るじゃないですか。そうすると、所得税も減ってしまうという悪しきスパイラルを どこかで切らないといけないのですが、なかなか その手段が見つかっていないというのが、今の状況だと思います。 shrink:(1)〈布地などが〉縮む,を収縮させる, 縮ませる.(2)減少する, 縮小する, 小さくなる,…を減少[縮小]させる, 小さくする.(3)(恐怖などで) 縮こまる.】引用元:ロングマン英和辞典:桐原書店
岸田 今年のゴールデンウィーク期間中の国内航空11社の国内線利用者数は、前の年と比べ プラス11.2%の およそ223万人と好調でした。JR 6社も健闘し、主要48区間の特急・急行列車の乗車人数は プラス6%の およそ838万7,000人と、3年ぶりに前の年を上回りました。「休日1,000円乗り放題」となった高速道路は、1日当たりの平均交通量が去年よりプラス1%の5万6,300台となり、最も長い渋滞が発生したのは 5月1日の東北道下り 福島トンネル付近の54.8キロでした。
伊藤 私も3日かな? 諏訪の お祭りに行って、帰りに凄まじい渋滞に巻き込まれてしまい、何時間かかったかな?諏訪−東京間を通常は2時間で行けるところを、6時間程かかってしまい、頭にきて普段は通らない国道20号線を使ったのですが、それでも信号はあるし、ずいぶんと時間を掛けてしまいました。1,000円はいいのですが、こういう時には大変ですね(笑)
岸田 今週のニュースファイルでした。

今週【5月7日(金)】のポイント

悲観論に傾くギリシャ問題と金融市場の動揺? - 今後の焦点 -
悲観論に傾くギリシャ問題と金融市場の動揺? - 今後の焦点 -【5月7日(金)】
岸田 まずはマーケットの問題、大荒れとなった海外市場ですが やはり 一番の根本的なところは、ギリシャに端を発したヨーロッパの信用不安がありますよね?
伊藤 そうですね。この間のマーケットの反応を見ていると、『楽観論が出てきて一回反発し「ギリシャは問題だね?」ということで反落する』ということを繰り返していまして、今週いよいよ ギリシャに関わる問題は深刻だという認識が強まる中で、非常に大きな下落を記録したということだと思います。
それに加えて、どうも誤発注問題があったということのようです。特に、NYダウ平均株価は現地時間の午後2時45分ぐらいに998ドルほど落ちたのかな?見てみると、チャートも おかしいんですよ。「スポーン」と そこだけ落ちていて、すぐに戻っているんですよ。
どうもそれは、CME*2に上場されている"E-mini"と呼ばれる株の先物取引に関連して、特に Procter & Gamble*3や 3Mに対して、どうも「M」と「B」を間違えた誤発注があったということのようです。「M」というのは、million(100万),「B」は billion(10億)ですよね。CMEの価格変動を見てNYダウも落ちたと、それでNYダウが落ちると「もうこれは世界的な危機か?」ということで、避難通貨としての円に買い物が入り ドル円が87円81銭だったかな?ユーロ円は 色々な説があるんですけど110円前後ですよね。豪ドル円やNZドル円も ものすごく一時円高になったんですよ。 CME:Chicago Mercantile Exchange シカゴ・マーカンタイル取引所(略称:CME または "The Merc", NYSE: CME)】アメリカ合衆国シカゴにある商品先物取引所及び金融先物取引所。なお、mercantile exchange は「商品取引」という意味の語であるが、シカゴ商品取引所(CBOT)との区別の必要性などから習慣的に表題のような訳語となっている。引用元:シカゴ・マーカンタイル取引所 - Wikipedia
岸田 株だけではなくて、為替など その他の市場も、くさび形のチャートになっていましたよね。
伊藤 そうなんですよ。逆に金相場などは鋭い やま形の波を示しているわけですよ。あと上がったのは、3ヶ月物のアメリカのTreasury Bills*4ですよね。だから、そういう意味では資本が強制的に動かざるを得ない状況になった,ストップが いろいろ ついたんでしょう。ストップでは、下げ局面がstop loss*5がtreasure(逆指値が大切に)されますから ドンドンドンドン落ちていくということで。 Treasury Bills:略称 T-Bills,日本名 - 財務省短期証券】一般的には米国国債のうち一時的な資金不足を補うために発行される短期の証券のこと。 引用元:TB(Treasury Bills)[トレジャリービル] - 野村證券
ストップが終わると相場というものは反発するんですけど、見事にその通りになりまして、相当 ドル円も戻しましたし、NYの株は結局 347ドル安くらいで終わったんですね。一時998ドル下がっていたことを考えれば相当戻したと。でも、全部 誤発注によって起きたかといえば、そうではなくて 昨日(5月6日(木))寝る前に渡し見ていたんですけど、なんだかんだといってNYの株も下がっていたんですよ。最初30ドル→50→80→100ドルくらい下がって、そこからドスンといったということで。 stop loss:損失を一定のレベルに限定するための反対売買。相場が自分にとって不利な方向に動いた場合に、その損失を一定のレベルで抑えるために出しておく逆指値。引用元:ストップ・ロス(Stop Loss) とは - コトバンク
ベースにはNYの株は下がらざるを得ない状況があったということです。その状況は何かというと やはり、基本的には買われ過ぎていたということもあります。
岸田 1ヶ月前を考えると、すごくいい状態だったんですよね?
伊藤 はい。買われ過ぎで それもあったんですよ。マーケットを見ている人は、何か理由を付けようとするんですけど、客観的に買われ過ぎもあったんですよ。それに加えてギリシャの問題があってドスンと落ちたと。3日間だけで650ドルくらい下がってるわけですよ。それは相当大きな下げですし、考えてみれば考えるほどギリシャ問題の着地というものが難しいんです。
岸田 えぇ
伊藤 IMFやEUが お金出せば解決するかといえば、当面は解決します。ギリシャは借り換えができるようになりますし、でも、その融資に関わる金利というものが 諸説あるのですが、5%くらい。ギリシャは、マーケットから借りるよりは安いんですよ。でも、5%の金利というものはデフレの状況では相当高いわけですよ。
岸田 そうですね。
伊藤 だから、そうすると今でもギリシャの公務員所得が10万円いくか、いかないか らしいので その人達を解雇しなければいけない、または、給与カットしなければ いけないというと、国民が納得しないわけですよ。ギリシャ国民に世論調査して聞いてみると、「なんで私達が、そのツケを払わなければいけないんだ」という見方が非常に強い。そうした中でギリシャの労働者の半数くらいが参加したといわれているデモやスト*6の中で、直接デモ隊と警察隊が衝突したわけではないんですけど、デモ隊の中に紛れていた一部の過激分子が投げた火炎瓶によって3人の方が亡くなったと。
それを見てマーケットがどう考えたかというと、「あっ、ギリシャは支援しても これは落ち着かないな」となったわけですよ。だから、そういう意味でいうならば マーケットがギリシャの先行きに対して非常に懸念しているという事態は全然変わらない。支援策の金額が問題ではなくて 一体ギリシャという国がway of living*7を変えられるかどうかという疑問に達しているわけですよ。
ギリシャがかつて社会主義だったとか、政治が安易な約束をしたとか そういう議論は いろいろあるし、ここに至っては、何ができるのか 国民が素直に緊縮財政措置にマーケットから見るとどうなのかな?というのがあるのと、ギリシャは単独ではなくて、次にはポルトガルやスペイン*8が控えているという問題もある。
でも、よく考えてみると「ユーロというシステムそのものは一体どうなるんだ?」とか、今後ギリシャが国内政治の変化によって、「私達IMFやEUからお金借りましたけど、国民の反対があるのでお金返せません」といわれたらどうなるのかなど、考え出したらキリがないんです。
岸田 そうですね。
伊藤 それで、ポルトガルについてはアメリカの格付機関が再び引き下げを検討しているという。そうなればEUの首脳は、怒ってるわけじゃないですか?でも、全体的な流れを見ていると、今回ギリシャを含むEUが抱えた問題は、なかなか深刻だと思います。突き詰めていくと、金融と通貨に関しては共通の立場を取ることにしたけれど、国内政治と財政政策は各国に任され、みんな赤字が膨れ上がっている状況の中でEUというシステムそのものに対する疑念が浮かび、マーケットの人達としても どう考えたらいいのかが分からなくなるので、結構大きな問題になっていますし、私は今週のような急激な反応は起きないとしても、まだまだマーケットは安定しないだろうなと思っています。
岸田 しばらくは様子を見守るというのがいいんですか?
伊藤 あれだけ為替が動いた後なので、少し動きは鈍くなると思いますよ。でも、そういう問題とは別に これから世界のマーケットは例えばユーロの先行きやギリシャの今後など、そういう問題が次々と浮かぶので それを防ぐために まだ大きなマーケットのターゲットになっていないところは早めに緊縮財政を打ち出すとか、ギリシャについては国民の不安はあるのかもしれませんが国内を再び意思統一できるか、そのあたりがポイントなのかなと思います。
岸田 支援する国によっても大変な問題ですよね?
伊藤 そうですよね。あと、先週の訂正ですが、まだ調べ終えていませんが ストに参加した人達が250万人なので、ギリシャの公務員数は先週お伝えした数ほど多くないかもしれないことを申し伝えておきます。
後編へのリンクはこちら

後編:伊藤洋一のRound Up World Now! 5月7日(金)放送分を文字に起こしてみました。後編






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番組公式サイト:伊藤洋一のRound Up World Now! | ラジオNIKKEI

下図のように、番組公式サイトの右側にiTunesへ登録するリンクがあります。



来週こそは日曜日のうちに文字起こし終えるようにします

平成22年5月8日(土)は、寝込んでいました。そのせいか文字起こしが途中までとなり、悔しい思いでいっぱいです。
来週こそは月曜朝までに終えるよう頑張るので、podcast聞き逃した方も電車などで文字起こしを見ていただけると嬉しいです。経済用語や為替や株の用語知らないので非常に手こずりました。

脚注

*1:縮小

*2:シカゴ・マーカンタイル取引所

*3:P&G

*4:財務省短期証券

*5:損失を一定のレベルに限定するための反対売買。相場が自分にとって不利な方向に動いた場合に、その損失を一定のレベルで抑えるために出しておく逆指値

*6:48時間のゼネストともいわれている

*7:進む方向

*8:GPS