伊藤洋一のRound Up World Now! 7月2日(金)放送分の文字起こし

冒頭部分

冒頭部分
伊藤 皆さんご機嫌いかがですか。伊藤洋一
岸田 岸田恵美子です
伊藤 いやぁ いよいよ、日本は負けましたけれども、サッカーは まだまだ これから佳境を迎えるということで。日本のチームも頑張りましたよね。帰国後の記者会見も、和気あいあい として良かったじゃないですか。今夜は、この番組が終わったら皆さんは、オランダ対ブラジルとか楽しんで頂けたら良いと思います。
岸田 それでは、伊藤洋一round up world now! スタートです。


今週【7月2日(金)】のニュースファイル

今週【7月2日(金)】のニュースファイル
岸田 fujitsu presents 伊藤洋一round up world now! 今夜も一週間の主な出来事をピックアップして伊藤さんに解説していただきます。その前に、番組が選んだ今週のニュースファイルです。
岸田 カナダのトロントで開催されたG20首脳会議は、首脳宣言を採択し、「成長に配慮した財政健全化」との基本原則を打ち出すとともに、先進国について「2013年までに少なくとも財政赤字を半減させる」との数値目標を明記しました。ただし、日本については目標達成を強制しない「例外扱い」としました。
伊藤 これはですね ヨーロッパが、どちらかというとギリシャ問題とかを抱えて「財政の健全化を急がなければならない」という環境の中にあって、しかし一方アメリカは、国内の不安が高まりつつあるということで、成長を急がなければならない。まぁ「成長に配慮した財政健全化」というのは、妥協の産物以外の何物でもない訳ですよね。あと、「2013年までに少なくとも財政赤字を半減させる」これは、対GDP比なんですけれども。これもですね数値は出したんだけど、フランスの大統領なんかは、「あくまで努力目標だ」みたいなことを言っていますし、日本については、私はびっくりしたんだけれども、菅さんが一応言ったんでしょう。無理ですよね、日本は。そんなに とっとと「財政赤字を削減できないので例外扱いになった」と。でも、例外扱いされた国の通貨が今週一番上がったというパラドックス*1的な動きになりました。
岸田 国土交通省林野庁は、私有林の所有権や売買実態の調査に乗り出しました。背景には、海外の投資家が取得した場合に水源や木材資源の保全が損なわれるとの懸念があります。中国人投資家などが東京都の多摩川上流地域の山林購入に関心を示しているとの情報が寄せられています。
伊藤 これは、日本各地で見られる現象で 例えば、九州の韓国との間の島なんかについて言うと、ある新聞がずっとキャンペーン張ってやっています。日本の観光地 マンションなんかも結構中国の投資家か 何かが買っているという節があって、マンション何かは別に大きな問題はないのかも知れませんが、「私有林の所有権、売買実績」って これ、非常に大きな面積を対象としたものになりますので、水利権など いろいろ絡んできて。今まで日本人社会で、社会の常識として、許される,許されない という規範があったんですけれども、それがないので、実態を調べましょう。ということでしょうね。でも私は基本的に、かつて日本はアメリカを相当買った事があるんですけれども、「なるべく自由にしておくべきだ」と。お金が入ってくれば日本経済が再び良くなるということもあるので。「向こうが悪しき意図を持たない限り、商業ベースのモノである限りはあまり希有することはないのではないか」と思います。
岸田 EU=ヨーロッパ連合が、EU、アメリカ、日本、中国、韓国などの国民を対象に実施した世論調査で、望ましい就業形態として「サラリーマンより自営業者」と答えた人の割合は、 中国が71%、アメリカ55%、EU平均45%、韓国51%、日本は39%でした。国際比較した場合の日本人の起業意欲の低さが際立っています。
伊藤 これは結構面白い調査ですよね。中国が71%というのは、いかに国民が起業意識に燃えているか。燃えているかというか、経済がこれから強くなる過程なので、「チャンスがある」と思う人が多いんでしょうね。日本の場合は どちらかというと、戦後の企業体制が ちょっと固まりつつある というところがあるんだけれども、でも私は 「まだ4割の人が就業形態としてサラリーマンより自営業者の方が良い」というのが逆に驚きました。私もサラリーマンをやったことがあるので分かるのですけれども、一回サラリーマンをやると何が良いのかと言うと、社会で暮らす上での基本常識が身につくんです。だからそういう意味では、例えば今まで成功している楽天の三木谷さんとか、あの人も ちゃんと銀行で修行したというところがありますので、大学卒業後すぐに起業することが良いことなのかとは、必ずしも言えないんです。ただし、「起業意識が強い人が多い方が社会は面白い」という風に思います。
岸田 国土交通省は、高速道路無料化の社会実験を開始しました。対象となる37路線50区間の初日の交通量は、実験直前の同じ曜日と比べて平均でおよそ79%増加しました。正午までの12時間のプラス63%より伸び率が高まっており、夕方以降のマイカーによる帰宅や買い物客らの利用が多かったことがうかがわれます。長さ1キロ以上の渋滞は4区間で発生しました。
伊藤 これね、あまり我々に関係のない所で、つまり東京近郊に住んでいる人間にとって、あまり関係のない所で行われているじゃないですか。例えば「首都高を無料化したらどうなるか」とか やっていないわけでしょう?だから、どちらかというと、「無料にしても あまり影響がないだろう」と思われるような所でしているわけですよ。「それ、実験と言えるのかな?」と思います。私にとってみると、「中央高速無料」とか相当インパクトがあるだろうなと思うんですけれども、「もうちょっと社会的な影響が大きいところで実験をしないと本当のことは分からないんじゃない?」でしょうか。
岸田 ネットワーク機器世界最大手、アメリカのシスコシステムズは、アップルのiPad発売でにぎわう多機能携帯端末市場に参入すると発表しました。基本ソフトには、検索最大手グーグルが開発した「アンドロイド」を採用します。
伊藤 私はiPadを早速買った方なんですけれども、やっぱり これは新しいマーケットです。光そのものを持っているので、寝ながらネットができるとか。今日も韓国問題の勉強会に行ってきたんですけれども、たまたまペンを忘れていたので、どうしようかと思ったら、iPadでを開いてメモ帳代わりに使ったんです。結構速く打てるし、だから私はCisco Systemsが「Appleに独占させたくない。俺達も出て行くぞ」日本の企業もそうしてくれよ。という風に思います。
岸田 菅総理大臣は、参議院議員選挙の応援のために訪れた秋田市内で演説し、消費税率の引き上げについて「年収300万とか350万円以下の人は、消費税分は全額還付するやり方もある。必要な食料品などを税率を低いままに押しとどめるというやり方もある」と語りました。菅総理は、これに先立つ青森市内での街頭演説では「年収が200万とか300万とか少ない人 までは負担が大きくならないように還付をする制度も相談したい」と語りました。
伊藤 これは後で詳しく取り上げます。
岸田 ネット通販最大手・楽天の三木谷社長は、記者会見で、主力のインターネット通販事業で世界27カ国・地域への進出を目指し、「将来はグループ全体の取引総額で海外の取扱高比率7割を目指す」と表明しました。「今後は社内共通語の英語化が必要」と強調し、記者会見を英語で行いました。
伊藤 これも後で取り上げようと思います。
岸田 アメリカ議会予算局は、アメリカの財政状況の長期見通しを公表し、2010会計年度末の連邦債務残高がGDP比で62%と、第2次世界大戦直後以来の高水準になるとの予測を明らかにしました。
伊藤 アメリカの場合は、連邦債務のかなりの部分は日本とか中国などが買っていますから、日本の場合は200%近いんですけれども、自国民が保有しているという非常に大きな違いがあります。だから このアメリカの財政赤字の増大というのは、今に始まったことではないんですけれども、アメリカが海外の資本に依存せざるを得ない、そうじゃないと経済が回らないという ある意味では ちょっと危機的な状況を表している可能性が高いです。
岸田 日銀が発表した6月調査の企業短期経済観測調査の結果は、企業の景況感を示す業況判断指数が大企業製造業でプラス1と、3月の前回調査から15ポイント改善しました。大企業製造業の業況判断指数がプラスに転じるのは、リーマン・ショック前の 2008年6月以来、2年ぶりです。
伊藤 正直言ってびっくりしました。プラスに転じるとは思っていなかったので、予想はマイナス3〜4%でした。二つ原因が考えられると思います。マーケットを見ている人は「今週発表された短観が、プラス1って それは どういう事だ」と、「こんなに世界経済が再び ちょっと暗くなってきているんじゃないか」と思われる人がいると思うんですけれども、6月分の短観というのは、5月の末から調査が始まっています。だから私は大部分の企業が主に購買担当者が担当しているものなのですけれども、6月の中旬には すでにレポートを出している。つまり、良いのか悪いのかという判断しているのだろうと思います。6月中旬は どうだったかな?と思うと、世界経済は むしろ楽観論に満ちていた時ですよね。それが一つの原因だと思います。もう一つは 発射台の問題があって、考えてみれば「リーマンショック後大変だったな」と、その頃に比べたら良いかな?という風に「印象論的に回答を書き込んだ人が多いのかな」と思います。実際には購買担当者の人達は会社の生産が増えているので、資材調達を増やさなければいけなかったとか、実体的な裏付けがあると思いますよ。ちょっと強めに出過ぎていると思います。今週のマーケットとの乖離については、また後ほど解説したいと思います。
岸田 損害保険ジャパンは、日本政府が今月から中国人の個人向け観光ビザの発給要件を緩和したことを受けて、年内にも中国で個人向け損害保険の販売を本格的に開始します。手始めに海外旅行傷害保険を手掛け、医療保険などに広げます。
伊藤 以前は年収340万円以上の収入がある世帯の人しか、特に上海とか北京とか大都市に住んでいる人しか日本に個人観光ビザで入れないということだったんですけれども、今週から「年収が80万円以上、大企業や官公庁に勤めている人がいる世帯の人だったらいいですよ」と。しかもエリアは、西安とか昆明とかに広げたので、日本に来る人が増えるだろうと皮算用している人が多いんでしょう。ビジネスも かなり変わってくる可能性が強いんですけれども、「そうか、損害保険もそうなのか」という感じです。「中国人の観光客を増やすための方策が いろいろなところで繋がっているな」と思います。
岸田 今週のニュースファイルでした。

今週【7月2日(金)】のポイント

菅総理「消費税全額還付も検討」に物申す
菅総理「消費税全額還付も検討」に物申す【7月2日(金)】
岸田 それでは今週の主なニュースを解説していただきます。まずは簡素売りの発言なんですが…。演説する場所によって消費税還付の年収が違う
伊藤 菅さんが総理大臣に就任してから、一番政策のポイントは、鳩山さんが代表の時代ですけれども「今まで消費税の引き上げは、絶対に4年間やらないんだ」という風に言っていた民主党が、菅さんの時代に入って 「消費税も考えざるを得ないんだ」と、やはり財源不足を痛感されたんでしょうね。場合によっては、1年後か2年後か分からないんですが、次の総選挙 つまり、前回の総選挙での民主党マニフェストは「4年間は消費税は上げない」と言っていたんですが、もしかしたら次期総選挙を例えば1年後に行ったとして、「国民の総意として(消費税増税に)賛成である」という意志が出たら、「(消費税増税を)やっても良いよ」みたいなところまで非常に大きく変わったわけです。
鳩山政権と菅政権の一番大きな違いは、消費税に対する考え方が ガラッと変わったことだと思います。もちろん(消費税増税の)実施は相当先になるのかもしれないのだけれども、考え方が変わったわけですよね。だから私は、「これは菅さんが相当考えて発言しているはずだ」という風に思ったんですよ。ところが、どうも「消費税の議論を持ち出した段階で、発足当初61%あった支持率が、どうやら50%前後に落ちてきた」ということもあるのでしょう。「消費税は上げるけれども、所得の低い人に対する措置はやりますよ」と言って、食料品などを対象から外すというのも一例だし、税還付をしますよという一例も持ち出してきているんですね。
ところが「そうなのか。あんまり深くは考えていらっしゃらないのかな?」というところが今週出てきてしまったと思うんです。それは、山形市内の街頭演説では菅さんは「年収300万,400万以下の人には税金を払い戻すという方式でやりたい。」税還付と言うんですけれども、そういう方法もあるよ と。ここで300万,400万という数字が出ています。一方、青森市内の街頭演説では税金の還付対象について「年収200万とか300万」とおっしゃっているわけです。それで秋田市内の演説では「年収300万から350万以下」と言っているんですよ。これね、場所によって全部違うわけですよ。
岸田 数字が違いますね。
伊藤 一番低いのが200万で、一番高いのは400万なんです。400万というと日本人の世帯あたりの所得にしてみて、かなりの部分、多分46%だったかな?全所帯500万前後の46%が入るわけですよ。一度 税を払った人の中でも、日本国民の半数近くが税還付を受けて、結局税を払わなくても良いことになるわけじゃないですか。
岸田 そうですよね
伊藤 一方、一番低い数字で言った200万だと全然状況が変わってくるはずで、この200万の間には ものすごく多くの所帯が入っているわけです。そうすると「どえらく違うな」と。
岸田 そうですね。
伊藤 「200万と400万では相当違うな」という風に思いまして、これはやっぱり、「演説する場所で こんなに違うということは あんまり深くお考えになっていなかったのかな?」という印象が まず しました。これについて「いや、例示して国民の皆さんの議論を待ちたいんだ」というようなことを言っているんですけれども、「でも 数字をそのまま出すのはどうなのかな?」というのと、「そもそも日本で世帯あたりの所得をそんなに完全に補足できるのだろうか?」ということです。サラリーマンは税金の関係で、企業が きっちり「この人には○○円払いました」というのが出しているからいいけれども、他の方々というのは自由業,自営業,農業の方々とか含めて、所得を きっちりとは補足できないですよね。子供手当に上限を設けるのかという話でも同じですよ。結構難しいんです。そういう意味では「ちょっと菅さん、どのくらい本気に諸費税のことを理論立てて考えて いらしたのかしら?」という疑念を抱いてしまいました。
これからテレビ討論等で各党党首と やり合うそうなんですけれども、ちょっとこの発言は不用意だったし、もうちょっと前政権とは相当色合いの違うことを言おうとしているわけですから、それをしっかりしてもらわないと議論のベースにもならないです。だから私は今週の消費税に関わる議論の中で税還付に関わる菅さんの発言というのは、相当shakyで怪しいと思っているんですよ。そういうところをしっかりやっていかないと、逆に支持率は下がる、もちろん「消費税と言っているけれども、弱い人は助けますよ」というのは良いのですが、理論的に具体的に数字をきっちり固めて言わないと支持率が下がる、国民から「なんだ」と思われる。そういう展開なのかなと思いました。 shaky:【(高齢・病気などで) よろよろする, ぶるぶる震える  〈知識などが〉 あやふやな, 〈関係などが〉 不安定な  (恐怖などで) 〈声が〉 震えた  〈家具・はしごなどが〉 がたつく, ぐらつく】引用元:ロングマン英和辞典:桐原書店

今週のマーケットの動きをこう見る
今週のマーケットの動きをこう見る【7月2日(金)】
岸田 続いて今週のマーケットです。これは まずG8,G20の結果を受けて始まった一週間ということだったんですけれども、株価は調整基調
伊藤 そうですよね。私はねG8,G20の長い声明を見ながら、「やっぱり世界経済が多極化している中で一つの意見をまとめるのは相当大変になってきたし、各国がG8,G20に集まった時のメッセージをどう受け止めるか」G7というのは結構cohesion*2があったじゃないですか。G7で決まったら各国がやらなければならないという話になっていたんだけれども、まずG8をやって次にG20をやる。「一体どちらが重要なの?」という話になってきて、全部読みましたけれども、ちょっと声明が散発的になってきたんですね。あまりにも多くのことを詰め込んだが故に、読んでいても あまり面白くないですよ。「これはもう2週間くらい前に決まってた文章じゃないか」みたいな。
だから「2013年に対GDP比で財政赤字を半分にする」というのは、数字として入ったことは確かなんですよ。「数値目標が入った」って言う人もいるんだけれども、フランスの大統領なんかは「いや、あれは努力目標だ」と最初から価値を低下させるようなことを言っていて、あそこで示された典型的に使われた単語は「世界経済は改善しているが、fragileですよ」 fragile:【壊れやすい, もろい  〈状態などが〉 不安定な, もろい  〈体質などが〉 虚弱な, ひ弱な  (精神的に) 傷つきやすい, 動揺しやすい  繊細な, きゃしゃな  (英) (二日酔いなどで) 気分が悪い】引用元:ロングマン英和辞典
「あぁ、やっぱりG8やG20から見ても、世界経済はfragileなのか」という印象が一つ残ったのと、もう一つは「やっぱりアメリカとヨーロッパは足並みが揃っていないな」と言うのが印象に残ったんだろうと思うんです。「アメリカは「成長,成長」と言っているけれども、じゃぁ どうやって成長させるかというところについて、住宅とか そういうところに弱い統計が出てきた」と。
ヨーロッパは「成長と言う前に財政をしっかりしなければいけない」と頸木(くびき)ができてしまったということだと思うんです。そうすると「じゃぁ、これから世界経済どうやって、どこが成長させるんだ?パワーが不足しているじゃないか。中国やインドをそんなに頼りにしてもダメだな」と、それで弱気になって、東京なんかも金曜は若干上がりましたけれども木曜まで下げ続けました。 くび‐き【軛・頸木・衡】(1)車の轅(ながえ)の端につけて、牛馬の後頸にかける横木。→牛車(ぎっしゃ)(2)(比喩的に)自由を束縛するもの。「圧制の―」 引用元:広辞苑
だからそういう意味では「世界経済全体が弱気になっちゃった」ということがありますし、G8,G20からして「世界経済はfragile」と言われたら、それはみんなrisk averse*3になりますよね。その結果が円高になっちゃったわけです。今週のマーケットの展開は「G8やG20の当局者が思ったとおりではなくて、むしろ その前の強気に対するアンチテーゼとしてのrisk averseまたは弱気が出ちゃったな」と思います。
岸田 今週、少し「世界景気の2番底」という声も ちらほら出てきているんですが
伊藤 だから私は、さっき企業短期経済観測調査(短観)の話もあったんですけれども、「実際のモノの動きは良くなっているんだろう」と思うんです。「マーケットの見方が 振れている」という風に思います。6月中旬はどうだったかというと、世界経済は大丈夫だ…みたいな…ね。一種の安心感が漂って、逆に今は「2番底か!?」みたいな…ね。リーマンショック以来、『2番底』懸念と『大丈夫だ』というのが順番にきているんです。
岸田 あぁ。言われてみればそうですね。
伊藤 乗用車の補助金が各国で今終わりの時期を迎えているわけじゃないですか。だから いろいろ各国経済を弱くするfactorはあるんだけれども
岸田 政策効果の息切れ
伊藤 そういうことです。政策効果が息切れしたからといって、またすぐに政策を打ち出す財源もないわけじゃないですか。
岸田 今回はそうなんですよね
伊藤 そういう意味では弱気にならざるを得ないという気持ちも分かるんだけれども、「NYダウにしても東京の日経平均にしても5日6日も下げ続ける理由はそろそろなくなってきている」と思っていまして、昨日そう思っていたので今日見ていたら、ほんのわずかですけれども日経平均が反発しました。あらゆる相場がそうなんですけれども「限りなくゼロになる相場」というのはないんです。どこかで反発するというバランスの取れた相場観を持つ必要があるのかな?と思います。

楽天「社内共通語の英語化」の必然性
楽天「社内共通語の英語化」の必然性【7月2日(金)】
岸田 続いて、ネット通販最大手 楽天が、これすごいですね。「世界27カ国に進出を目指す」ということなんですね
伊藤 今週の木曜日だったかな?英フィナンシャルタイムズ紙を読んでいたら下の方に「rakuten」と出ているんですよ。何かな?と思ったら、「英語を会社の公用語にする」と。つまり「会議も含めて全てを英語でやる」三木谷さんも英語で会見をしたそうじゃないですか。「う〜ん。日本語しかできなくて楽天に入社している人は、これからどうするのかな?」と。2012年をメドにする ということなので「2年の猶予があるからその間に しっかりと勉強せぃ!」ということなのでしょう。
私が知っている限りでは、もうそういう発表をしなくても実質的に企業英語をmajorな*4言語として動き出している会社、例えば野村證券なんかがあります。というのは、リーマンブラザースを買収したので、日本人が半分以上いても会議の かなりの部分は英語で行われているそうです。この前、野村證券の人と話をしていたら「伊藤さん、我が社では もう英語ができないと、相当無理ですわ」そう言っていました。
他の企業ではゴーンさんの いる日産、これもゴーンさんが出席する会議は英語だし、英語がしゃべれるフランス人でもドイツ人でもイギリス人でもそうなんですけれども、技術者がいる会合はほとんど英語でやっているらしいです。あとは、ユニクロ
岸田 ファーストリテイリング社ですね。
伊藤 ユニクロは柳井さんが「これから世界企業だ」ということで、英語の公用化を図ろうとしている ことらしいんです。
「なんで日本人なのに英語なんかしゃべる必要があるんだ」という意見の人もいるでしょう。ただし、world economic councilとかMDIなど、そういう所で「この企業は競争力がある」と言われている企業は、大部分がフィンランドスウェーデンシンガポールなど(韓国も だんだん入ってきたんですけれども)小さな国で、自国語以外に世界共通語としては英語を使いこなしている企業が多いんです。 【MDI:Multilateral Development Institution 国際開発金融機関】  アメリカ国家経済会議(National Economic Council、NECwikipedia:アメリカ合衆国国家経済会議 や、世界経済フォーラム(World Economic Forum)wikipedia:世界経済フォーラムは探すことができましたが、world economic councilは探すことができませんでした。
「オレは世の中が嫌いだ」と言う人がいるかもしれないですけれども、世界に通用するためには通訳なしでダイレクトに彼らと話せる環境を作っていかなければいけないと思うんですよ。私もそんなに得意じゃなくて、アメリカ人が早口でしゃべったりしたら分からなくなるんですよ。
だけれども、世界的に活動する企業の中で自分をアピールや意思疎通するためには、自分の将来の中で英語というのは必ず有用になってくる。この番組を聴かれている方々には、そういう気持ちを持って英語はマスターしておいていて欲しいな。と思います。

今週の気になる作品

今週【7月2日(金)】の気になる作品
岸田 今週の気になる作品のコーナーです。伊藤さんが注目されている映画や本など、世の中の作品諸々について独自の視点で語っていただきます。今週は書籍ですね。
伊藤 はい。「島耕作」の作者である弘兼憲史さんが新潮新書で『気にするな』という本を書いていて、これちょっと面白かったので みなさんに紹介したいと思います。
というのはですね、弘兼さんは もともと現在のパナソニックに勤めていたということなんです。「2年だったかな?3年だったかな?いたことが非常に役立っていた」と話していて、嫌いな上司と いかに付き合うかとか、いろいろな結構現実的なテーマまで扱っていて、要するに「気にするな」と。
この「気にする」というのと「気にしない」というののバランス感覚が結構重要なんじゃないかなと思っていまして、私は弘兼さんの本を読んでいながら、「あぁ、結構似た所があっていいな」と思いながら読んだんです。
岸田 今週の気になる作品は、書籍で『気にするな』(弘兼憲史新潮新書)でした。

Check the Tomorrow

明日以降予定されている内外のイベントの中からポイントになるものをピックアップします。

  • 7月5日(月)
    • 米国市場休場(Independence Day)
    • ユーロ圏5月小売り売上高
  • 7月6日(火)
    • 5月景気動向指数(速報)
    • 米8月ISM非製造業景況指数
    • 豪5月貿易収支
    • 豪金融政策発表
  • 7月7日(水)
    • 独5月製造業受注
    • 英中銀金融政策委員会(8日まで)
  • 7月8日(木)
  • 7月9日(金)
    • 米5月卸売在庫
    • 韓国政策金利決定
    • ブラジル市場休場
  • 7月10日(土)
    • 中国6月貿易収支

番組エンディング

岸田 伊藤洋一round up world now! そろそろお別れです。
伊藤 「中国の日用品メーカー宝健(北京市)が10月に1万人で日本に団体旅行する」と。
岸田 規模が凄いですね。
伊藤 どうやって来るんでしょう?1万人。「社業に報いた*5社員や家族が対象。報奨旅行である。5泊6日 首都圏と関西で それぞれ2泊、東京-大阪間の都市で1泊を予定している」と。
岸田 都内に来ているときに、見かけるかもしれませんね。
伊藤 というより私は、その日 彼らが移動するときに新幹線に乗れるかどうかが不安です。
ということで、伊藤洋一
岸田 岸田恵美子でした
伊藤 Ate' breve*6 Obligato*7


番組公式サイト:伊藤洋一のRound Up World Now! | ラジオNIKKEI


番組存続のためにご協力くださいiTunespodcastをダウンロードおねがいします

下図のように、番組公式サイトの右側にiTunesへ登録するリンクがあります。



脚注

*1:逆説

*2:結束力,団結力

*3:リスクを嫌っている状態

*4:主要な

*5:むくいた

*6:See yoo soon

*7:ありがとう