9月10日(金)放送『伊藤洋一のRound Up World Now!』の文字起こし
9月10日(金)放送の伊藤洋一のRound Up World Now!をテキスト化しました。
先週,先々週と 2回文字起こしをお休みしましたが、忙しさと北国の残暑もようやく収まり再開することができました。
今後も続けていきたいと考えております。
文字起こしを終え次第随時公開していきます。途中になっている時は月曜の朝を目標に作成しております。
今週の放送内容
- 冒頭部分
- 今週【9月10日(金)】のニュースファイル
- 今週【9月10日(金)】のポイント
- 今週【9月10日(金)】の気になる作品 - オンライン・ストレージ『quanp』(リコー)
- Check the Tommorow
- 番組エンディング
冒頭部分
冒頭部分 | |
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伊藤 | 皆さんご機嫌いかがですか。伊藤洋一と |
岸田 | 岸田恵美子です |
伊藤 | いよいよ来週火曜日(2010年9月14日)民主党の代表選挙です。 (民主党代表選に)勝った人が日本の総理大臣ということで重要な選挙なのですが、 「ちょっと今回の選挙は いい加減だったのかな?」という話を昨日聞きましたので、 ちょっとそれをお伝えしようかなと思いますけれども。 |
民主党の代議士秘書を友達に持つ 私の友達が、こんなことを言っていました。 「伊藤さん、今度私のところに投票用紙が送られてきたんです。 私は、『じゃぁ、君の名前借りておくから』と言われただけで 2,000円払っていないんです。」と言うんです。 |
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「でも投票用紙が来ました」と。それで、 「私は癪に障る*1から『該当者なし。いい加減にしてください』と返送しました。」(笑) |
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岸田 | (笑)本音でしょうね。 |
伊藤 | やっぱり党員とかサポーターというのは、 きっちり2,000円払った人じゃないと意味がないと思うし、 制度的な欠陥もあると思いますよ。 民主党代表選挙は「2年に1回代表を決めているようだったら、 (代表が)変わる毎に総理大臣を変えなければいけない」という問題もありますし |
今回の民主党の代表選挙は誰に決まるか, 誰が勝つのかわかりませんけれども 相当いい加減なところがあった。 それは0.003掛け*2であっても同じことだと思うんです。 |
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だから411人ですか?今現在。 「国会議員の方の票が重い」ということは確かだけれども、 やっぱり政策も含めて代表選挙のシステムを変えていただかないと、 「どうなっているんだろう?」という感じが。 結構そういう人達が多いので、「投票用紙は もらったけれども、 実は何も(民主党に対して)思いは何もない」というのがあるらしいので、 「党としても しっかりしてくれなければ困るな」と思います。 |
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もう一つ言うならば、自民党も今週 役員を改選しましたけれども、 こっちも何をやっているのかが わからない。 日本の政治全体に対する危機感というのが 私は感じています。 「しっかりして欲しいな」という風に思います。 |
今週【9月10日(金)】のニュースファイル
今週【9月10日(金)】のニュースファイル | ||
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岸田 | 伊藤洋一の round up world now! それでは、一週間の主な出来事をピックアップして 伊藤さんに解説していただきます。 その前に、番組が選んだ今週のニュースファイルです。 |
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岸田 | シャープは、太陽光のエネルギーを電力に換える割合である 発電効率が42.1%と、これまで世界一とされてきたアメリカ企業の 41.6%を凌ぐ新しい太陽電池を開発しました。 レンズなどで集めた光を電池に当てる「集光型」と呼ばれるタイプで、 今後改良を加えれば発電効率45%も実現可能としています。 太陽電池の発電効率が45%になれば、発電コストは、 既存の火力発電や原子力発電にほぼ並ぶとされています。 |
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伊藤 | 今までの太陽光発電用電池は太陽光を電力に変換する変換率が、 多分20%前後だったと思います。 日本企業は その中でもトップを走っていたんですけど、 発電コストが火力や原子力と比べると劣っていたわけです。 |
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でも これが、シャープが発明した42.1%、さらには45%ということになると、 完全に(火力,原子力の発電効率と)並ぶわけです。 太陽光発電そのものは 中国やアメリカが追い上げてきましたが、 「『新しい技術をきっちりと製品の中に活かす』ということをやっていけば、 私は日本の競争力は落ちない」という風に考えています。 |
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岸田 | 経済産業省は、エコカー補助金の申請受け付けを 今月7日までに受理した分で締め切ると発表しました。 7日時点で補助金予算の残りが10億円となり、底をつくことが確実になったためで、 8日に受け付けた分は補助金の対象外となりました。 |
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伊藤 | これはまた後で取り上げます。 | |
岸田 | 内閣府が発表した8月の景気ウオッチャー調査は、 街角の景気実感を示す現状判断指数が前の月に比べ マイナス4.7ポイントの45.1となり、2カ月ぶりに悪化しました。 ドバイショックのあった2009年11月以来の大幅な悪化です。 |
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伊藤 | これは、「いろいろな補助とかが打ち切られ またアメリカの景気が悪くなりそうだ。ヨーロッパも良くない」ということで、 雰囲気は悪くなっていると思います。 何というか、自然体力経済みたいなところに移ってきているので、 「本当に大丈夫か?」というところが ぶり返しているのだろうと思います。 |
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アメリカで「もう一度インフラを中心に公共工事をやる」というようなことも出てきていますし、 日銀も金融緩和をしてきて いたりして、 「ちょっと下支えは されるかな?」という感じがします。 ただし、世界的に見て先進国は まだまだ抱えた問題が大きいですよね。 「やっぱり借金という問題がアメリカでは やっぱり個人,ヨーロッパでは一部の国, 日本では国家債務という かたちで大きい。 これがover hungというか頭に掛かってきている」ということだと思います。 |
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岸田 | アメリカのオバマ大統領は、 年収25万ドル以下の中間層向けの減税策は継続する一方、 富裕層向けの減税は今年一杯で打ち切る考えを改めて表明しました。 |
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伊藤 | これはブッシュ大統領が打ち出した政策なんですけれども、 財源が乏しくなって「取れるところから 取る」という政策になっていくのでしょう。 やむを得ない面があるんですけれども、 アメリカの資本主義の原点に立つと「成功した者は きっちり儲けても良いじゃないか」ということも ありますので、 国内では批判が強い ということだと思います。 |
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岸田 | 菅総理大臣は、閣僚、日銀総裁、経済界や 労働界トップらをメンバーとする「新成長戦略実現会議」の初会合で、 企業の競争力強化に向けた法人課税の実効税率の引き下げについて、 年内に結論を出すよう指示しました。 |
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伊藤 | 私は、民主党が政権を取って一年なんですけれども、 経済が上向くのが ちょっと遅いです。 だから そういう意味では「企業を強くしていかないと 雇用を生み出すのは企業であるわけでして、 法人税の問題も含めて総合的な対策を取らなければ いけないのだろう」と思います。 |
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一年経って「年内に結論を出すように指示した」というような…。 最近の会合では、菅さんを気遣って「スピード感」ということを おっしゃっているんですけれども、その言葉通りには進んでいない感じがします。 |
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岸田 | インターネット検索最大手、アメリカのグーグルは、 日本を含む世界の電機メーカーと情報端末を共同開発します。 スマートフォンや電子書籍、インターネット対応テレビなどで 先進的な端末を継続的に投入し、先行するアップルに対抗します。 |
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伊藤 | 世界のgadget*3の分野ではAppleが圧倒的に強くなっていますよね。 iPadも含めて、iPhone 4,それに続く製品も出てくると言われています。 やっぱり消費者の気持ちを掴むのが上手いです。 いろいろな欠陥みたいなもの(不便な面)があるんですけれども、それを乗り越えて 「Appleの人気が高いのは それだけ使いやすい,使っていてワクワクする」ということだと思います。 |
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どちらかというとAppleの製品は、 一人の天才が考えついた製品がprevailしているという感じじゃないですか。 「みんなで 寄って たかって勝てるのかな?」という気もします。 |
prevail:[動] 《[自]進行形不可》(フォーマル) 〈思想などが 〉 勝つ, 勝る 〈信条・習慣などが〉 広がっている, 支配的[優勢]である (競技・闘争などで) 勝つ 引用元:ロングマン英和辞典:桐原書店 |
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岸田 | 世界経済フォーラムが発表した「2010年版世界競争力報告」で、 日本の総合順位は前の年より2つ上がって6位となりました。 日本は「政府債務残高」の項目で事実上、最下位になるなど 公的部門に対しては厳しい評価が下されましたが、 製造業の生産工程など民間部門が高く評価されました。 ギリシャに端を発する金融危機の影響でヨーロッパ勢が順位を落としたことも 日本浮上の一因となりました。 |
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伊藤 | (以前は)8位だったということですよね。 それが6位になったということで、 もう一つ国際競争力調査をしているIMD*4というのがあるんですけど、 そちらは もうちょっと日本は下だったと思います。 「ヨーロッパ勢が落ちたので…」ということが書いてありますけれども、 「確かにアイスランドとか そういうところが かなり落ちましたので日本が浮上してきた」ということになっていると思います。 |
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世界経済フォーラムもIMDもそうなんですけれども、 日本の場合は公的部門が ものすごく順位が悪いんです。 私の記憶だと何十何位で、国家債務が多いことがあります。 研究開発部門では日本は1位か2位に常になっているので、 日本の競争力がどこにあって 経済の活力がどこにあって その足を引っ張っているところがどこにあるのかが、よくわかるんです。 財政を含めて「公的部門を いかに競争力のあるものにしていくか」というのが 非常に重要な課題だと思います。 |
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岸田 | 全国で相次いで発覚した高齢者の所在不明問題を巡り、 現住所が不明で住民票が削除されているにもかかわらず、戸籍上「生存」する100歳以上の高齢者が、 全国でおよそ23万人以上いることが、法務省の調査で分かりました。 戦争や移民先の海外で死亡したものの、死亡届が未提出の例が多いとみられ、 法務省は自治体に対し、戸籍の整理・抹消手続きを促します。 |
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伊藤 | 地震もありました。神戸なんかが そうなんですけれども 「役所の資料が焼けた」とか、戦争があったりとか。 「フッと開いたら150歳の人が100人くらい日本では、まだ生きているらしい」みたいな、 そういう話になっても おかしいので、制度をもし維持するのでしたら 「それは論理的に おかしいだろう」という人の戸籍は抹消する。 正しいものでなければ意味がないですよ。 |
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ただ、こういう考え方もあると思うんです。 アメリカなんかは戸籍がないんですよ。 「戸籍とは一体何なんだ」ということを再検討することも必要かもしれないですよね。 |
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岸田 | 経営再建中の日本振興銀行が債務超過に陥って経営破綻し、 預金の一定額までしか保護しないペイオフが初めて発動されました。 週明け以降に1預金者あたり「元本1,000万円とその利息」まで預金の払い戻しに応じる一方、 これを超える部分は支払額が一部カットされる見通しです。 |
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伊藤 | これは、ポイント1のところでお話しします。 | |
岸田 | 菅総理大臣は、民主党代表選の討論会で、 円高に対応するための為替介入を巡って「日本が何らかの行動をとったときに ネガティヴなことは言わないでほしいと いろいろやっている」と述べ、 水面下でアメリカやヨーロッパの通貨当局と 交渉していることを明らかにしました。 |
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伊藤 | 手の内をあんなに見せると、余計に やったときの効力が無いと思うんだけど。 「あらゆる経済政策というものは、介入も含めて意外な時に、以外にパワフルにやる」というのがコツなんです。 こういうかたちで「『日本がやっても文句を言わないでくれ』と交渉しているんだ」みたいな話をすると効力が落ちます。 |
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岸田 | 今週のニュースファイルでした。 |
今週【9月10日(金)】のポイント
今週のマーケットをこう見る
今週のマーケットをこう見る【9月10日(金)】 | ||
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岸田 | それでは主なニュースを解説していただきます。 まずは、今週のマーケットです。 |
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伊藤 | 週末に出てきた日本振興銀行の破綻というのが大きいのだろうと思います。 日経と朝日が朝刊で素っ破抜く かたちで報道して、 それが間もなく日本振興銀行本体から江上さん*5が記者会見していました。 その後「金融庁が記者会見をして正式に発表する」ということになりました。 |
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預金保険制度が1971(昭和46)年にできて以降、 日本では初めてペイオフ(預金などの払い戻しを一定額とする措置)というのが実施されることになって、 実質的に1,000万以上の預金は保護されないケースが出てきたわけです。 |
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私は日本振興銀行を創った木村さん*6もそうだし、 彼が日銀の行員である頃から知っているんです。 彼の「中小企業を助けたい」という気持ちが強くあって、 担保も取らずに「とにかく中小企業を助けたいんだ」という 気持ちは分かっているけれども、そもそも難しい分野だなと思っていました。 |
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一方で新銀行東京というのも 東京では できて、これも同じようなコンセプトだったんですけれども なかなか上手くいかなかったということがあって、 日本振興銀行は銀行法に基づく検査忌避*7の問題があり 木村さん以下逮捕されるかたちになって、 その後 彼もまた私が知っている江上剛さんがトップに立たれて やってきたわけですけれども、 外資との提携とか資本調達とか いろいろ案があったんでしょうけれども、 資産を厳格に評価した場合に債務超過になってしまったということで、 今回 破綻ということになります。 |
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銀行として一番重要なのは 「お金を貸す先の企業がこれからどうなるのか?」というのを 見定めることが必要だと思うんです。 |
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例えば日本が戦後の経済発展の最中にあったときには、 「この企業はコレで活躍できて世界で売ることができる」というのが見えていました。 今は結構難しいんです。 要するに途上国の企業との競争もありますし、 だから他の銀行は担保主義に走ったりして 私は それを美しいことではないと思いますが、 「きっちりと担保を取りながら」ということをやってきたわけです。 |
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私は木村さんの銀行は「志は良かったけれども、実現性は難しかった」 と最初から思っていまして、 そういう意味では日本の金融システムの中に於いて 普通預金も当座預金も持たない、 つまり 決済機能を果たしていない銀行として 「あの銀行は いつかは 行き詰まるかもしれないな」という見方がある中で 今回破綻に至ったと。 |
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今日(2010年9月10日)の東京株式市場が140円上がっているんです。 普通 銀行が潰れたときに株が上がる訳はないので、 「いかに日本振興銀行というのが、 周辺的な決済機能を担わないという特殊な銀行であったか、 もっと言ってしまえばmarginalな銀行だったか」ということだと思います。 |
【marginal】[形] 〈変化・差などが〉 わずかな 重要でない, 片隅の [反意] mainstream (英) 〈議席・選挙区が〉 僅差(きんさ)で決まる 《[名]の前でのみ》(専門) 限界収益点の 《[名]の前でのみ》 (ページの) 余白[欄外]に書かれた 引用元:ロングマン英和辞典 |
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そういう意味では、銀行が潰れて世界に発信されるルートを見ていても、 あまり「銀行がダメになったから日本はガタガタになる」という見方はないし、 円相場も83円台で動いていましたし そういう意味では、 「日本の金融システムから一つ不安要因が消えた」という面もあると思います。 |
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今週のマーケットを見ていて、 「日本振興銀行の破綻というのは マーケットは かなり 折り込んでいました」ということが言えます。 私が特徴的だったと思ったのは、 83円台になったり84円台になったり、 為替に対するsensitivity*8が非常に高かったということだと思います。 |
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83円台の前半まで いったときには、東京の株は落ちましたけれども。 わずか60銭,70銭円安になっただけで、 東京の下げ止まって 上がってきたケースもあります。 今日なんかは84円台前後で動きましたので、それですよね。 |
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見ていると、一時の悲観論が行き過ぎだったという見方は出ていると思います。 でも「…じゃぁ…持続的に上がることができるのか?」と言うと、 ドルもそうなんですけれども、「株式市場でも資金の出入りが鈍い」ということが言えると思うんです。 |
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自然体力経済になってきて、日本,アメリカ,ヨーロッパ それぞれの経済が問題を抱えています。 でも、「まぁ これ以上落ちないだろう」という一方での楽観論もあって、 それが株価を支えていたりする という状況なんだろうと思うんです。 |
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私は、これからのことを考えると 菅総理が「欧米とは介入するときに、『あまり文句を言わないでくれ』みたいな話をしている」と、 そこまで言うことは無いとは思いますが、話をしているようなので、 多分80円を切るような状況には必ず介入してくるし、 (介入して)こなければ おかしいと思います。 |
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そういう しっかりとした見通しをすることができるのだったら、 日本の株価で いって9,000円割れとか 円高で困る企業が多いにしても、 「そろそろ底なのかな?」という感じがマーケットには出てきたんじゃないのかな?と。 でも心配なのは、岸田さんは知っているのかもしれないですけれども、 出来高が ちっとも増えないですよね。 |
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岸田 | えぇ。 | |
伊藤 | これだけ細いと、マーケットの存在価値が無くなってしまいます。 今は代表選の最中にあって、「政治は何ができるのか?」ということを はっきりと示9されていない、 そういう情けない状態にあります。 「それを速く脱してもらって、企業サイドも新しい製品を投入する中で 消費を盛り上げていく」ということが必要なのかな? という風に思います。 |
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岸田 | こんな時だから 「個人投資家には先物とかオプションを使ったデリバティブ(金融派生商品)が 人気になっている」ということですよね。 |
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伊藤 | 私もデリバティブとかオプションを含めて やってきましたけれども 、実は 結構難しいんです。 レバレッジがかなり効いて 足も速いし、 まぁ私は マーケットの今の出来高が低いのは、 それなりに理由があると思っていまして、 つまり、貨幣のvelocity*9が高まらない状況になっているわけです。 |
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その時に「自分のvelocityを高めてオプションや先物で」 という気持ちは分かりますけれども、 「くれぐれもポジションを あまり大きく取りすぎない方が、私は賢明なのかな?」 という風に思います。 |
エコカー補助金前倒し締め切りをこう見る
エコカー補助金前倒し締め切りをこう見る【9月10日(金)】 | |
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岸田 | 続いて、エコカー補助金の前倒し 締め切りについてです。涙を飲んだ方もいらっしゃると思うんですけれども… |
伊藤 | 「昨日はOKで、今日はダメみたいな」そういう話になって、ポイントをそこに絞ると それは…まぁ…やっぱり…、5〜25万円貰えるんでしたっけ?貰えた方が良いわけであって、でも私は「経済政策としては 元々補助金制度というものは、緊急時の対応措置の意味しかない」と思っているんです。 |
と言うのは、先駆けの需要が出てくるだけです。「補助金をやります」と言うと、「来年の3月くらいに乗用車を替えなきゃいけないな」と思っていた人が今年の9月に買い替えたとか。そういう話になってくるわけですよ。 | |
岸田 | 「需要の先食い」ということなんですね。 |
伊藤 | 先食いなんですよ。だから先に食っちゃうので、「時間が経過すると後は無くなる」というのが明らかです。アメリカなんかでも私の記憶だと補助金が無くなった段階で二十何%落ちたんじゃないですかね。「それは やむを得ない」と。 |
私は 補助金というものは緊急措置ではあるが、その間に消費者の本来モノを買う意欲を強くする。それは先行きに対する自信を深めることなんですけれど、それをやらなければいけないと思っています。 | |
今回の民主党の政権は、政権が慣れていなかったということも あるのでしょうが、今やっている制度は かなりの部分 自民党時代から続けられていたものです。要するに家電エコポイントも そうですし、もう そろそろ自前の政策が打てても良いんじゃないかということを考えて、それは新成長戦略実現会議の中で行われているのですけれども、やっぱり本筋は そちらの方で「日本経済をどうしていくか」ということなのだろうと思います。 | |
乗用車のディーラーさんの中には「これ(エコカー補助金)が無くなると困るんだ」という人もいるかもしれないけれども、「元々需要を『先食い』しているだけであるので、もっと本質的な経済政策へ政策が移る中で乗り越えていくべき問題なのかな?」という風に思います。 |
日本の国際競争力は高まっているか?
日本の国際競争力は高まっているか?【9月10日(金)】 | |
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岸田 | 続いて「日本の国際競争力が世界で6位になった」という、世界経済フォーラムの発表がありました。 |
伊藤 | このIMDと世界経済フォーラムの国別順位表というのは1990年代の中頃、初めからずっと見ているんですよ。 |
岸田 | この番組でも、何度も何度もご紹介いただきましたよね。 |
伊藤 | 何度もやりましたよね。日本というのは1990年代の初めの頃は1位でした。間違う事なき1位でした。でも、その頃から政府の赤字,公共部門の効率の悪さというのが足を引っ張っていたんです。 |
岸田 | 当時から すでに… |
伊藤 | 当時からそうです。じゃぁ、どうして1位になれていたのか?というと、民間企業の技術開発力とか 今でもその状況は変わりませんが、そういうものが高かったんですよ。でも90年代の末頃、政府の赤字は どんどん増えていく段階では、日本の順位も どんどん落ちて 24位か25位まで落ちたんじゃないですかね。韓国より下だったと思うな。それで大体高い順位の国はフィンランドとかスウェーデン,ノルウェー,シンガポールとか |
岸田 | 北欧とか金融に強い国々ですね。 |
伊藤 | 小さい国なんですよ、端的に言うと。それは何故かと言うと、小さい国って 最初から自分の国の言葉以外に、国民全体がもう一つの国の言葉、例えば英語であったり、中国語であったり そういうものを学ぼうという気運がもの凄く強いんですよ。 |
岸田 | 外に開かれている ということなんですね。 |
伊藤 | そうすると、国民の 国の外の人達とのコミュニケーション能力が高いと判断されるんです。これも国際競争力の中に入っているんです。私は世界を見て、一番 外の国の人達と上手く先進国の中で喋れないのは日本だと思っていまして、つまり それは英語ができない ということに端的に表現されるんですけれども、そういうのもカウントされる指標なんです。 |
そういう意味では、「大して日本人は英語が上手くなっていないのに6位になったのか」と思う一方で、「それを引き上げたのは日本の製造業の ちから なんだろうな」という風に思うんです。 | |
だから、やらなければ いけないのは「政府の効率性を高める」という事と「国民のコミュニケーション能力を高める」この二つができれば、日本はNo.1,No.2になれますよ。今は そこが悪いわけだから。後は政府債務削減ということです。 | |
それができると何が良いかと言うと、日本は輸出は強いんだけれども、このまま行ったら あちこちで負けそうですよね。だから新幹線を中国に輸出したと思ったら、中国が今度アジアに対する鉄道の輸出を一生懸命やっている。速いんですよ。 | |
こっちが昨日まで教えていたと思ったら、今日は向こうが日本の近隣の国を教えるみたいな かたちになっているじゃないですか。そういう意味では、私は「日本の国際競争力は高まっているのか?」というディレクターの質問に答えるならば、「5年後 危ないんじゃないの?」そういう感じがします。 | |
岸田 | 今週のニュースファイルでした。 |
今週の気になる作品 - オンライン・ストレージ『quanp』(リコー)
今週【9月10日(金)】の気になる作品 - オンライン・ストレージ『quanp』(リコー) | |
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岸田 | 今週の気になる作品のコーナーです。伊藤さんが注目されている映画や本など、世の中の作品諸々について独自の視点で語っていただきます。今週の作品は? |
伊藤 | 今週は、たまたま私 チベットへ行って、はっきり申し上げて 街を歩いていても兵士がいっぱい いて、その兵士にはカメラを向けては いけない みたいなんです。厳しい状況があって、行くときから いろいろ考えていたんです。「書いた文章をどうしようか?PCに残しておくのも いろいろ問題だな」と思っていたし、「写真も意図的に兵士を撮るような つもりは全く無いんだけれども、たまたま背景に写ったものを取り上げられるのも残念だな」と思っていたのでクラウドコンピューティングを利用できれば良いなと思っていて |
行ったら結構インターネットがホテルで使えたので、だから「念のため」と思って自分の書いた文章とか写真は その都度クラウドに投げていたんです。私が使っているクラウドは、dropboxとquanpですけれども、どうもdropboxが上手く動かないんですよ。 | |
それで考えて、quanpは どうなんだと考えて使ってみたら、これが綺麗に稼働するんです。どうも調べてみると、「2005年か2006年くらいからdropboxは中国の当局によって止められている」ということが分かりました。 | |
それは帰ってきて いろいろな人の話を聞いて分かったんですけど、実はtwitterもインターネットを通じてのtweetは中国では できないんですけれども、携帯電話では できていたり いろいろ あるんですけど、文章とか写真はquanpで殆どupしていたんです。それで結局、いる間に「写真を見せろ」とか 無かったんですけれども、考えながら「これは便利だな」と思って。 | |
PCなんか いつ壊れるか分からないじゃないですか。PCの中に文章や写真を置いといたら…ねぇ。今 世界中でネットは通じるわけで、その中で使えるクラウドっていうのは非常に便利だなと思いました。 | |
そういう意味では中国では たまたまdropboxが使えないという状況があって、一方クラウドの仲間であるquanpは使えた ということなのでquanpは もの凄く活躍してくれた訳なんです。帰ってきても大容量のメールをquanpを経由して送ると、メールサーバーに負担をかけずに送れる ということが分かりましたし、そういう意味では結構使えるツールだったなということがあります。 | |
ただし、中国の場合は いつ どのサービスに対して「No」と言ってくるのか分からないです。そういう意味では不安感は残りますけれども、「今のところ 私が使っているクラウドの中では quanpが もの凄く有用だった」ということは お伝えできるかな?という風に思います。 | |
岸田 | ということで今週の気になる作品は、オンライン・ストレージで リコーの『quanp』でした。 |
Check the Tomorrow
明日以降予定されている内外のイベントの中からポイントになるものをピックアップします。
- 9月15日(水)
- 米9月NY連銀製造業景気指数
- 米8月鉱工業生産--設備稼働率
番組エンディング
伊藤 | ということで、伊藤洋一と |
岸田 | 岸田恵美子でした |
伊藤 | Ate' breve*10 Obligato*11 |
番組公式サイト:伊藤洋一のRound Up World Now! | ラジオNIKKEI
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